私は、ワイヤープローブメーカに6年間所属して、検査治具の開発を取締役兼執行役員・研究開発部長として推進しました。私が移籍する前から検査治具の開発は進められていました。
そこで、コンタクトの接触の再現性や耐久性の問題があることを知りました。当時は、接触の再現性の問題は検査治具の設計に依存する問題と考えていました。一方で耐久性は、材料硬度や電極材料(パッド材料)とプローブの反応が原因と考えていました。
独立して「プロセスD&Tラボ」を運営するようになって、あるクライアントからプローブの開発の支援の相談を受け、主に製造工程の開発・支援を行う事で契約をしました。そこで、新たな気づきがありました。私は実験ができる環境はないので、理論的・解析的にその現象を解明できないかと考えました。
私の気づきの一つは、プローブの劣化に関してです。先に述べましたが、プローブの先端の劣化対策は、硬い材質に変更するこことや半田との反応性が低い材料とするか、そのような材料でメッキなどの処理をする事でした。この考え方が一般的でした。
一方で、プローブ検査も状況も変わってきており、一度に検査するパッドの数の増加、狭ピッチ化、接触荷重の低減の要求があります。
また、実験事実として、導通試験すると、しない場合と比べて寿命が低下します(場合によっては大幅に低下する)。
このことは通電による影響がプローブの寿命に大きく影響することを意味しています。
この理由を解明するために、構造が簡単なワイヤープローブをモデルとして、解析モデルを考案し、色々検討した結果、評価実験とも整合がとれるモデルを確立でき、その原因をほぼ解明できたと考えています。(評価実験はクライアントが担当しました)
これによりプローブの新たな設計指針が得られました。そのクライアントは、この評価データを使って営業活動を行っています。
また、ワイヤープローブに弾性範囲の垂直荷重しか作用させていないのにも係わらず、塑性変形が起きます。この原因に関してもある仮定を導入することで塑性変形が十分に起きることが解明できました。
この現象を応用するアイディアも生まれました。
私がメーカに所属していた時には、サンプルを作って評価する方が原因究明が早いと思っていましたが、今の私にはできないため理論的・解析的なアプローチをする方法しか取れません。しかし、そのおかげで今までは考えつかない現象に気づき、その検証を行う事でプローブで起きている問題の本質を理解できるようになったと考えています。
ワイヤープローブにご関心がある方は、ご連絡をお待ちしています。
(2025/9/26) 小相澤(KOAIZAWA)