上の写真は、ある家電メーカの製品に組み込まれていた特殊な端子への電線(導体錫メッキ軟銅線)の圧着処理部の写真です。全ての家電メーカがこのような圧着をしているとは思いませんが、自動車用のワイヤーハーネス(WHと略す)を生産するメーカはこのようなレベルの圧着はしていません。
私の知る範囲ですが、電線を接続する業界では、「接続の原理」と呼ばれる接続に係る技術思想があり。その原理を理解していないと自動車のWH分野ではカーメーカから採用がされない聞いています。
私も古河電気工業(株)に勤めていた時に、上記の原理があることを先輩から聞き、自分なりに調査・研究を行いました。また一方で、学問的に電気的接続(接触抵抗)の研究がなされています。先に記載した「接合の原理」は、電気的接続の理論を取り込んで実用的にその理論が使えるように考えられた設計基準と言えるものだと私は理解しています。
もちろん使用環境によっては電気的接続及び機械的接合だけでなく他の要求事項を満たさなければなりませんが、電気接続が正しく行えていることが条件となります。
私なりに接合原理を考えて独自の設計基準なるものを作成しました。電線と圧着端子の接合のような、機械的に接合する方法でお困りの内容がありましたらご相談ください。接合の原理のご説明から、その評価方法に関してご説明をいたします。そして具体的な加工条件の設定、検査による品質の管理などの相談に対応をいたします。
前置きが長くなりましたが、銅の価格が高止まりしており、今後も自動車のEV化や電動化が進むとますます銅価が上昇するリスクがあります。そこでアルミ電線(Al電線と略す)に変更することで、導体の価格の変動の抑制と製品価格の低減を図ることが考えられます。
しかしながら、銅電線をAL電線に変える場合には、材料の特性の違いにより設計を変更しないといけない項目が出てきます。また端子は一般的に銅合金がつかわれるので、銅合金とアルミ合金の異種金属の接合となります。ご存じのようにこの金属の組合せでは腐食が起きやすいのでその対策も必要になります。
以前より架空線や自動車の大電流ケーブルにはAL導体やAL電線がつかわれていましたが、ここ10年程度で、自動車のWHの分野と産業用電力ケーブルで新しくAL電線化が図られています。今後は、機器用電線でもAL電線が導入されると思います。そのためにはA電線の接続技術の確立が必要になります。
当社では、銅電線の「接続の原理」をベースとして、AL電線に変更した場合の接続設計に関して当社独自の設計基準を考案しています。また変更した設計が有効なのかを評価するための評価技術・方法の提案も行っています。
設計は設計の有効性が確認されて初めて妥当性が検証されます。当社と連携してAL電線の接続技術の開発・確立を一緒に目指していただける顧客を探しています。
ご興味のある方は問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。